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欅坂46のナチス衣装はアイドルとしては挑戦的だしロックだ

2016年11月01日

欅坂46

欅坂46の衣装が話題だ。ナチス・ドイツの軍服にそっくりだとアメリカのユダヤ系人権団体まで動き出した。これに対して秋元康が公式に謝罪文まで掲載するにまで至った。

アメリカ・ロサンゼルスにあるユダヤ系の人権団体「サイモン・ウィーゼンタール・センター」が今回の衣装に対して反発。「10代の若者がこのような衣装を着て踊るのを見ることは、ナチスによる大量虐殺の犠牲者たちにとって大きな苦痛だ。グループに悪気がないとしても、ナチスの犠牲者の記憶を軽んじ、ドイツだけでなく世界中の若者に間違ったメッセージを送ることになる」と懸念を表した。

これに対して所属音楽会社のソニーミュージックと総合プロデューサーの秋元康が謝罪文を掲載した。

もちろんこれはネットから拡散されてユダヤ系の人権団体まで広まった事案である。欅坂46のメンバーはほとんどが10代だ。その衣装がナチスのものだとは気づかなかっただろう。秋元康ですらニュースで知ったと公言している。責任は衣装デザイナーとそれを許した欅坂46のスタッフ達に行き渡るのかもしれない。

しかし今回の衣装は時代背景を捉えて見れば決して許されるものではないが、アイドル文化やサブカルチャーとして見れば非常に面白いものだと言うことも一理あるのではないか。

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欅坂46の衣装や楽曲スタイル

欅坂46は2016年に活動を本格的にスタートさせたアイドルグループである。乃木坂46の姉妹グループとして結成されたのが2015年のこと。

欅坂(けやきざか)は東京の中心地である六本木にある坂名のこと。テレビ朝日や六本木ヒルズを隣り合わせにしている「六本木けやき坂通り」のことだ。

欅坂46は今までのAKB48グループやその他のアイドルとは少し雰囲気が違う。それは1stシングル「サイレントマジョリティー」を聴いても分かる通り。「サイレントマジョリティー」とは「静かなる多数派」「音を立てない大勢」などと略すことができる。「NO」とは言えない、人と違うことはできない、この社会に反発することができない、どれだけ不満や不安があろうが社会に屈するしかない、今の日本で生きているすべての日本人に対する社会的メッセージとも取れる歌になっている。

みんな同じような衣装を着て同じような振り付けで踊る。そんなアイドルという存在に対しても疑問を抱かせる歌となっている。欅坂46はアイドルとしては最初のシングルから「挑戦」している。キラキラした雰囲気、もしくは清楚な雰囲気を持ったアイドルとは違う。アイドルらしからぬアイドルとして誕生したのが欅坂46だ。

2枚目のシングル「世界には愛しかない」ではいきなりセンターの平手友梨奈が絶叫するという展開を含んでいる。アイドルがいきなり絶叫して始まる楽曲など今まであっただろうか。これは今を生きる若者の不安や葛藤を描いた楽曲だ。

こうしたメッセージ性を持った楽曲や活動スタイルを提示しているのが欅坂46というグループである。いつものAKB48グループとは少し違ったものだということはわかるだろう。

衣装に関しても「サイレントマジョリティー」から軍隊のような軍服をまとっている。最初のシングルから政治や戦争、社会的なものをテーマにした、コンセプトにしたアイドルだと決まっており、今回のナチスの軍服はその流れだったと言える。例えば雑誌ではメンバーが古今東西、様々な武器を持った姿を披露したりと決して恋愛や青春を描くようなアイドルではないことがわかる。

欅坂46

そもそも戦争をテーマにしたゲームだったり、戦闘機や軍艦から名を使ったアニメだったり、そういったオタクコンテンツは今ではかなり多い。それをリアルなアイドルが使うことは目に見えていたわけで、何も不思議なことではない。そういったゲームやアニメを好きな層とアイドルが好きな層は似ているため、顧客獲得にはもってこいだっただろう。

ナチス・ドイツの軍服はやりすぎた?

欅坂46

戦争や軍隊などをテーマにし、社会的メッセージを放つアイドルが欅坂46だということはわかっただろうか。ナチス・ドイツの軍服に手を出すことは必然だったと言える。しかし今回のナチスの軍服は本当にやりすぎたんだろうか?

そもそもナチスをテーマにした作品など今に始まったことではない。ナチス風のコスプレなど今までやってきた人はいるし、ナチスをテーマにした作品もある。ナチス風の軍服を出した漫画やアニメだったり、映画がある。

じゃあなぜ欅坂46の衣装は炎上したのか?今回の衣装は帽子の部分のマークがナチスのものにそっくりだと指摘された。なぜダメだったのだろうか?

それは彼女達が日本トップクラスのアイドルグループであり、決して彼女達は「悪」を象徴したものでもないし、むしろ万人から支持される側の存在だからだ。ナチスの軍服をオマージュしたものは悪として使われる場合が多い。しかし彼女達は多くの人が支持し、そしてファンとしては崇拝してしまうほどの偶像としての価値もある。アイドルが正義か悪かの二極で言えば正義となる。ナチスを肯定することは決してできない。だから今回の衣装はNGな問題となった。日本人はナチスを肯定するのか?何百万人をも虐殺した存在を、何も知らない10代の少女達に真似させてそれを良しとするのか?そう判断されている。それはどう見てもダメな事案だろう。

欅坂46だけじゃない。過去にもナチスが問題となった作品もある。それが国民的漫画である「ONE PIECE」だ。ワンピース内で「白ひげ海賊団」という海賊が登場する。その海賊の海賊旗のマークがナチスのシンボルマークである、ハーケンクロイツ(逆卍のマーク)にそっくりだった。週刊少年ジャンプ掲載時にはそのマークだったが、コミックス掲載時には別のマークに変更された。という話がある。(ONE PIECEのナチス問題

もしもONE PIECEが国民的な大ヒット漫画じゃなければ変更されなかったかもしれない。この他ONE PIECEには政治的なテーマを持った話が存在する。こうした問題は万人に好かれるもの、万人が受け入れているものだからこそ発生する。欅坂46も、日本のアイドルとしてはトップクラスのグループだからこそ炎上したのだろう。

姿勢としてはロックすぎる

大衆文化へのカウンターとしての役割があったロックという言葉。それに対する存在がロックバンドだったが、今の時代となってはその存在はもはや居ないに等しい。多数派へのカウンターとしての役割を持っているロックバンドはあまりいない。その役割を果たしているのが今のアイドルである。そして欅坂46はカウンター的な存在でもあり、それは決してマイノリティなものでもなく、それを大衆へをも伝えるマジョリティ的な存在である。「サイレントマジョリティー」という社会的なメッセージを1stシングルとしたことがすでにロックだ。誰もが良いとはいえない、万人に受ける歌を歌わない。多くの人の行動を疑問視した歌が「サイレントマジョリティー」だ。これをロックと呼ばず一体何をロックと呼ぶのか。

そんな10代のアイドルがナチスの軍服を着飾るということ。一体そこにどんなテーマを持たせたかったのかは今となってはわからないが、何かしらのメッセージを言いたかったかに違いない。じゃなきゃわざわざナチスを出してはこないだろう。ナチスを使って何かを伝えたかったならそれはロックだと言える。みんなが言えない抱く疑問、この国へのこの社会への不平不満、この国で生きて不安を抱えているすべての人へ、アイドルである欅坂46が何かを代弁してくれるんじゃないのか。

表向きの形としては謝罪するしかないだろう。しかしその裏で秋元康はしてやったり顔をしているんじゃないのか。今回の炎上で知名度を上げたことはもちろんのこと、今のアイドルってバンドよりよっぽど挑戦的なんだなって思ったり、アイドルだからってバカにできないなって感じたりする人がいるんじゃないだろうか。批判するだけで終わるにはもったいない、アイドルという存在がまたひとつ変わった瞬間だと捉えることもできる。

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