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アリーナツアー「THE DINNER」から見たセカオワの音楽愛

2016年07月04日

THE DINNER

SEKAI NO OWARIは勘違いされやすい。その見た目とか発言とか、テレビでの印象とか、ライブでは派手な演出とかで注目を浴びてるからかあんまり音楽家としての評価を受けることはない。大衆というのは一見さんが多いので、ぱっと見た感じとか、どっかで聞いた話とか、主観や表面上だけのもので判断してしまうからだ。でもそれがフツウであり、ファンでもなきゃセカオワの音楽性なんて少し聴いただけで判断するのが当たり前だ。

SEKAI NO OWARIは2016年に久しぶりにアリーナツアーを開催した。そしてやり遂げた。その名も「THE DINNER」。2015年には日産スタジアムにて巨大樹と街をステージセットとして作り上げ、誰もが驚くような演出や圧倒的な熱量でセカオワにしか表現できないエンターテイメントを作り上げた。そういったライブを繰り返した結果、セカオワといえばステージセットの豪華さ!ライブの演出の華やかさ!が売りになった。

しかし2016年アリーナツアー「THE DINNER」はSEKAI NO OWARIがそんなSEKAI NO OWARIから一歩抜け出すためのライブだったとも言える。彼らのミュージシャンとしての顔がそこにはあった。

Fukase、ギターを持つ

Fukaseはかつて「ギターなんてまだ使ってんの?」みたいな発言をして炎上したことがある。でもその発言は今の若いバンドやアーティストにも影響は出ている。セカオワがやってきたことは明らかに下の世代にも受け継がれているし、影響は色濃く出ている。最近じゃギターなんて持たなくてもいいし、テレビ番組にはどんどん出るべきだし、そのほうがカッコいいよ。なんて風潮まである。かつてのミュージシャン像やバンド像をセカオワが変えたのではないか。メンバー個人にキャラクター性をもたせたり、プライベートを隠さなかったり、派手できらびやかな演出を使うことを躊躇わなかったり、シンセサイザーを多用したり、そんなかつてはカッコよくないとされていたロックバンドのタブー的なことを当たり前のように行ってきたのがSEKAI NO OWARIである。だから嫌いな人もその分多い。

そんなセカオワはだから勘違いされやすく、セカオワの音楽性(笑)なんてバカにされることもしばしば。でも今回のアリーナツアー「THE DINNER」で感じたことは彼らの音楽に対する愛情や情熱だった。

まずあんな発言をしていたFukaseがギターを持つ。バンドとしては当たり前のことなんだけど、ギターを持つ時間が長かった。ボーカルの定位置からあんまり動かない。ハンドマイクにならずに、ギターを奏でて歌っている時間が長かったこと。ミュージシャンとして、バンドとしてのSEKAI NO OWARIへの回帰である。元々セカオワだって、派手な演出や派手な衣装を着たりするバンドじゃなかったんだ。そんな初期の頃のバンドとしてのSEKAI NO OWARIに少し戻ったような、だが幾度もライブを経て更新されたバンドとしての凄味もあった。

ライブ「炎と森のカーニバル」「TOKYO FANTASY」「Twilight City」のエンターテイメント重視のライブとは違う路線で行ったのが「THE DINNER」。

役を演じる、映画的

「THE DINNER」では、セカオワのメンバー人気とかメンバーの愛らしさやアイドル性を捨てている。FukaseやNakajinはサングラスをかけて顔も見えない、いつもなら頻繁に入れている観客への煽りもコール&レスポンスもほとんどない。ぶっちゃけセカオワファンからしてみれば前のエンターテイメント全開のライブのほうが楽しかったよ、なんて感想が残るライブだったかもしれない。もちろん演出が何もなかったわけではなく、Saoriの手掛ける演出は今回もあった。だがポジティブで誰もが楽しめるような派手な演出ではなく、ホラー的で狂気的、サディスティック的な演出であったため、それまでのライブとは伝わるものが根本的に違っていた。そんな演出だからLOVEのピエロマスクも恐怖性が出ていたのか。狂気的な演出は、彼らが音楽へ入り込むために必要な要素だったのだろう。ライブ中に無我夢中で興奮してピアノを掻き鳴らしているSaoriはどこぞの音楽家に見えたぞ。

観客が楽しむことよりも、自分達が表現者としてミュージシャンとしてどこまで入り込めるかを実践したライブだったんではないだろうか。煽りもないし、ハンドマイクで走り回ったりもあまりしないし、会場に入ったら暗闇で歩くことも困難だし、ドラゲナイではトランシーバーも旗も持たないし。それはSEKAI NO OWARIが今回表現したかったことを観客へ強制したものだ。お前らの楽しめるものは十分知ってるけど、今回は俺らに付き合ってくれよ、そう言われた気分。だがそんなセカオワはそれまでとは違い、ひと味もふた味もカッコよかっただろう? 安易な言い方をすればロックだった。たぶんこの「THE DINNER」の時期は、バンドとしてセカオワが1番色気があってカッコよかった、また「THE DINNER」の頃のような感じになってほしい、と将来的にファンから言われる時期となる。そういう時期ってのは長くバンドをしているバンドには必ずある。

どんな顔も持てるバンド

今回の今までとは路線違いのライブを行ったことでSEKAI NO OWARIはまたしてもバンドとして根太くなった。バカにしてる人も多いセカオワだが、もう少し知ってもらえれば評価も変わってくるんじゃないだろうか。こうした音楽活動がファン以外にはあまり浸透していないのがおかしい。アーティストっていうのは曲単体だけではなくて、それを作った人の背景だったり考えだったり、アルバムがどんな意味をもった作品なのかだったり、今回のライブはその曲を使ってどんな意味の込められたライブを行うのか、だったりそういうものを含めてそのアーティストを評価すべきだ。でもそういうことはファンにしか伝わらない、これを打破するにはどうすればいいのだろう。

話が脱線したがセカオワは今回の「THE DINNER」で新たな顔を見せた。ちゃんと音楽を鳴らすバンドとしての深みのあるライブであった。そして以前からやっていた観客を魅了する最高のエンターテイメントも作ることができる。ここからのSEKAI NO OWARIは更に強く、面白いことになるのは間違いない。次のドームツアーがどんなライブになるのか?楽しみだ。

 

SEKAI NO OWARI ドーム・スタジアムツアー2017

2017年1月22日(日)埼玉県 さいたまスーパーアリーナ(スタジアムモード)
2017年1月23日(月)埼玉県 さいたまスーパーアリーナ(スタジアムモード)
2017年2月4日(土)愛知県 ナゴヤドーム
2017年2月11日(土・祝)大阪府 京セラドーム大阪
2017年2月12日(日)大阪府 京セラドーム大阪


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