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シティポップバンドはピチカート・ファイヴの上塗り

2016年06月30日

ピチカートファイヴ

渋谷系の中でも代表格として知られるピチカート・ファイヴをご存知だろうか。渋谷系、90年代前半に流行した渋谷から発信される音楽、渋谷のレコード店で売れていた音楽、または都市型のオシャレさを前面に出した音楽である。渋谷系にはORIGINAL LOVEだったり、小沢健二、小山田圭吾、フリッパーズギター、スチャダラパーなどが活躍していた。その中でも一際異彩を放っていたのがピチカート・ファイヴだ。

彼らもまた過去の音楽に影響を受けて自分たちの音楽へと変換していたアーティストたち。渋谷系はいわば今でいうダサカッコよさをファッション性との融合によって表現していた音楽である。ピチカート・ファイヴもまたそうであり、楽曲としては80年代前半に流行したシティポップの面影を感じさせるものを表現していた。それもそのはず元々は細野晴臣プロデュースの元でデビューしている。

シティポップとは70年代~80年代前半に流行した音楽ジャンル。はっぴいえんど、YMOに所属していた細野晴臣に影響されて出てきたフォロワーバンドやアーティストがシティポップである。そこから時は流れて、90年代前半に渋谷系に世代交代していった。はっぴいえんど、シティポップバンド、そして渋谷系と流れ、そして時は流れに流れて2016年、再びシティポップに火が付いている。時代は周るとはこのこと。

ファッション、ポップアイコン重視

ピチカート・ファイヴは音楽はもちろんのこと、ファッション性やポップアイコン性を最重要課題、最優先していたようなバンドである。それは今のシティポップバンドや、アイドルにも通じるところがある。今でも通用するその音楽性とファッション性や映像は見事の一言である。

十二分に今でも聴くことが、見ることができるだろう。むしろ今の時代にぴったりじゃないだろうか?リバイバルブームが起きている今にこれほど合うバンドもいない。その時代を彩ったアーティストっていうのはどうしても古臭さやダサさが時が経つにつれて垣間見れてしまうが、ピチカート・ファイヴはそうじゃない。今のシティポップを奏でているバンドもファッションや映像を70年代、80年代風のテイストにしているがそれを先取りしてやっていたのがピチカート・ファイヴである。彼らがやっているのは当時流行っていたファッションではなく、ひと昔前のものを自分たちなりのセンスで更に良いものに変化させた。90年代前半に知名度を上げたピチカート・ファイヴだが、90年代前半に流行っていたファッションとは逆行している。この素人が踊っているぎこちないダンスも今のアーティストのMVでよく見るだろう。ピチカート・ファイヴは色あせないものを作っていた。

このセンスの良さ、これを80年代半ばから90年代前半にやっていた。この映像は白黒テレビ時代、60年代のものをピチカート・ファイヴなりにリバイバルしたものだ。こんなリバイバルMVを今でもやっているアーティストは見たことがあるだろう。

いや、もしかしたらこれは今だからこそ、センスが良いと感じられるのかもしれない。201X年という今、70年代80年代の過去の時代のものが良いとリバイバルされているからこそ、センスが良いと感じ取れるのかもしれない。もし10年前であったらまた見方が違っていたかもしれない。時代とは面白いものだ、その時代時代で何を良いと捉えるか同じ人間なのに違う。ピチカート・ファイヴは今だからこそ再評価されるべきか。

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アイドルに受け継がれた、PerfumeやNegicco

今のシティポップバンドが出てくる前にピチカート・ファイヴのような渋谷系は、アイドルに受け継がれていった。その代表格が中田ヤスタカが作り上げたPerfumeである。

ピチカート・ファイヴのボーカリストである野宮真貴。活動とともにボーカルが変わっているバンドなのだが、彼女のボーカルが一番ピチカート・ファイヴを表すものと言っていいだろう。彼女はこのバンドに置いてポップアイコンとして役割があった。

今では当たり前となっているポップアイコンという言葉だが、当時はなかった。Perfumeもきゃりーぱみゅぱみゅもポップアイコンとしての役割がある。彼女らがアイドルと言い切れないのはそれがあるからだ。ポップアイコンとはその時代を象徴する役割と、そのバンドやユニット自体を他人が想像したときの第1イメージとしての役割がある。Perfumeを思えば必ずあの3人が思い浮かび、きゃりーを思い浮かべれば必ずあの奇抜な衣装の可愛らしい彼女が思い浮かぶ。

そしてポップアイコンはどこかロボット的である。人間味があまりない。それはPerfumeが表立ってやってきたことだ。IT化が進んでいた時代にそんなロボット的な"近未来テクノポップユニット"Perfumeは受け入れられた。これを先取りしていたのもピチカート・ファイヴである。ピチカート・ファイヴのボーカル野宮はその素性や人間性が不透明であり想像を掻き立てる、どこか映画のヒロインを見ているような役柄を演じているようだ。それはPerfumeのようなポップアイコンとして機能していることと同じ。

最近知名度を上げているNegiccoというアイドルはピチカート・ファイヴのメンバーであった小西康陽や田島貴男が楽曲を手掛けている。ピチカート・ファイヴの楽曲を今のアイドルに歌わせても違和感はないだろう。

そしてシティポップバンドが再熱

最近になってシティポップと呼ばれるジャンルを鳴らすバンドが増えまくっている。なぜ増えているのかは本当の理由はわからないが、夏フェスで縦ノリや4つ打ちばかりのロックバンドに対するカウンターとして登場した、そんなロックバンドを受け入れられない人がバンドをやったらそうなった、なんて話がある。これもピチカート・ファイヴと同じである。彼らも当時出てきていたバンド、バンドブームで出てきたバンドのカウンターとして出てきた。エゴをむき出しにして自身の存在をギターを鳴らして存在証明をするロックバンドに対してのカウンターとしてピチカート・ファイヴは音楽を鳴らしていた。それは今と全く同じ流れである。全く面白いものだと思わないか、時代は周るとはこういうことだ。

そして登場した彼ら、シティポップを鳴らすバンド。

LUCKY TAPES「Touch!」

 

Awesome City Club - アウトサイダー

 

Yogee New Waves / CLIMAX NIGHT

こういったシティポップを鳴らすバンドが今になって増えた。それはフェスで盛り上がるような楽曲ばかり作ってしまうロックバンドに対する反抗心か、それともそれは関係ないか。時代の流れである。

そんな流れの中で同じようにかつて現れたのが渋谷系に分類されるピチカート・ファイヴというバンドである。ピチカート・ファイヴもまたそれ以前のアーティストに影響されて出てきたものであり、それがあって彼らが生まれた。そうやって巡り巡って音楽というものは生まれている。あの時に彼らが作っていたものがこうして時代が周って再び新しいバンドに再変換されている。この循環こそ音楽文化の素晴らしいところであり、アーティストがアーティストとして音楽に意欲を燃やす最大の功績であるのかもしれない。

ピチカート・ファイヴというバンドがいたことをなんとなくでいいので知ってもらえただろうか。必ずそこには先人がやっていたものがある。その上に僕らは生きている。


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